新型コロナウイルスのワクチン接種について
免疫抑制療法をうけている天疱瘡や類天疱瘡患者さんへ
国内では2021年2月に、ファイザー社とビオンテック社が共同開発した mRNA ワクチンが特例承認されました。
アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンは2月5日に承認申請が行われ、モデルナ社のmRNAワクチンは国内で 進行中の臨床試験の結果を受けて承認申請される見通しです。
2021年2月20日の時点で接種するワクチンはファイザー社製のワクチンですが、いずれ3種類のワクチンが使用される見通しです。
免疫抑制療法(ステロイド内服薬、免疫抑制剤)をうけている天疱瘡や類天疱瘡の患者さんに対する mRNA ワクチン接種に関しては2021年2月現在国内では十分な情報がありませんが、国外からは以下のような見解が示されています。
- 高齢者や基礎疾患を有する患者さんにも健常人とおなじように mRNA ワクチン接種をうけることが勧められます。
- 天疱瘡や類天疱瘡に対する免疫抑制療法は mRNA ワクチン接種の禁忌(うけてはいけない)にはなりません。
- 現在免疫抑制療法をうけていても mRNA ワクチン接種に際して治療を中断する必要はありません。
ウイルスベクターワクチンは、生ワクチンではありませんので、免疫抑制療法をうけていても接種可能です。推奨度や注意喚起については言及されていません。
ワクチン接種の施行を決める際は、医師患者間で安全性と有効性についての留意点を十分に共有したうえで、最終的に患者さん本人の意向を確認することが望ましいと考えられています。
最新情報が厚生労働省HPに掲載されますので適宜参考にしてください。
よくある質問
- 質問
天疱瘡や類天疱瘡の治療目的でステロイドや免疫抑制剤の投与を受けています。
ワクチン を接種してもよいのでしょうか?
回答
予防接種ができない人に該当しなければ、健康人と同様にワクチンをうけることが推奨されます。 - 質問
予防接種ができない人はどのような人ですか?
回答
下記にあてはまる方は本ワクチンを接種できません。
該当すると思われる場合、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。- 明らかに発熱している人(※1)
- 重い急性疾患にかかっている人
- 本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
- 上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。
出典 厚生労働省 新型コロナワクチン予防接種についての説明(案) - 質問
接種の判断を行うときに注意を要する人とはどんな人ですか?
回答
以下に該当する場合は、主治医にあらかじめ相談をするとよいでしょう。- 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある人
- 予防接種で接種後2日以内に発熱や全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある人
- 過去に痙攣の既往のある人
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる人
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する人
- 抗凝固療法を受けている者、血小板減少症又は凝固障害を有する人
- 質問
新型コロナウイルス感染が重症化しやすい人はどのような人でしょうか?
回答
新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方です。
重症化のリスクとなる基礎疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満があります。
また、妊婦や喫煙歴なども、重 症化しやすいかは明らかでないものの、注意が必要とされています。
出典:京都大学西浦教授提供データ及び新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.1版